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[デザインで考慮すべきUX手法] 2 – ユーザーフィードバック(User feedbacks)

An introduction to user research techniques

Ways to understand your users and their needs
原文:An introduction to user research techniques by the Government Digital Service, UK
出典:https://www.gov.uk/service-manual/user-centred-design/user-research/index.html

デザインで考慮すべきUXチェックリストのうち、2つ目のテーマでは「ユーザーフィードバック」について説明したいと思います。
すでに多くの方々が認知されているように、ユーザーからのフィードバックは企画序盤から運営に至るまで、サービス全般にわたって考慮すべき内容です。サービスのライフサイクルにおける継続的なコミュニケーションから、ユーザーが本当に必要としているもの、不便に感じる部分を探し、この改善プロセスを展開することで、ユーザーに親しみのある使い勝手のよいサービスへと発展できることでしょう。

ユーザーフィードバックの要約

サービスベースのユーザー調査はサービスの初期企画段階から運営に至るまで、サービスの各ライフサイクル段階で求められます。初期段階では、主に市場の大きさやトレンド、あるいはユーザーのタイプやニーズを把握するために行われ、運営段階であれば、ユーザーのニーズが十分に反映されているかを検証するツールとして活用されます。

ユーザー調査を実施する前に、調査対象の規模や調査方法、スケジュール、アンケート用紙の構成と調査に活用するツールを定義することが必要です。このプロセスが完了すると、プロジェクトの性質や取得したい情報の特性に応じて、定性的あるいは定量的なユーザー調査方法を実行します。ユーザー調査のアプローチとしては大きく定性的調査方法と定量的調査方法が挙げられます。このうち定性的ユーザー調査方法は、通常、構造化されていないユーザーニーズを把握するために使用される方法で、主に小規模ユーザーを対象に詳細な調査を行うことになります。また、定量的ユーザー調査方法は、多数のユーザーを対象に、客観的かつ構造化されたユーザーの意見を収集/分析しようとするときに使用されます。

ここでは、ユーザー調査を実施する際に必要な調査方法論と技法について幅広く紹介したいと思います。ユーザー調査は、サービス製品の研究戦略的研究の2つに大きく区分ができ、それぞれ詳しい内容は下部で改めて紹介します。

1.サービス製品の研究

オンラインサービスを分析し、適切な戦略を立てるための研究方法として、定性的調査方法政略的調査方法が使用されることがあります。

定性的調査方法は、一般的に小規模のユーザーを対象に深く調査を進行し、標的集団面接法(FGI; Focus Group Interview)と1:1のインタビューテクニックなどがここに属し、構造化されていないユーザーニーズを把握するために主に活用されます。定量的調査方法は、多数のユーザーを対象とした調査方法で、オンライン調査、対面インタビューと資料の収集、分析のため構造化されたアプローチを用います。

このようなサービスベースの調査は、組織内で直接実行したり、場合によっては専門機関に委託して進行します。内部で直接行う場合は迅速に進行できる長所がある反面、熟練した人材が必要で、場合によっては調査に必要なアプリケーションツールが必要になるという盲点もあります。そのため、通常は組織内で自主的に調査を行いますが、内部にサービス調査の経験を持った人材がいない、熟練した人材がいない、プロジェクトの規模が大きいなどの場合には、専門機関に調査を委託する場合もあります。

2.戦略的研究

戦略的な研究では、一般的に市場の大きさやトレンド、あるいはユーザーのタイプを把握するために行われ、このときも、定性的、定量的調査の方法論が利用されます。

この過程で、統計資料を基に収集されたデータの意味を分析する卓上調査(Desk Research)を実行して、従来の調査資料や情報をここに活用できます。このような2次分析を進める前に、私たちが既に認知している調査結果にどのようなものがあり、不慣れな部分に対する知識のギャップを埋めるために、どのような調査を進めるべきか把握が必要です。また、既知情報には掲載された研究資料やニュース、記事、事前に行われていた内部調査資料まで、様々な用途に活用できます。

3.サービスのライフサイクルに関する研究

下表は、一般的なサービスのライフサイクルと各段階でどのようなユーザー調査手法が実行されるかを表したものです。サービス企画の各段階において、ユーザーニーズがよく反映されているかどうかを検証する際、有用な参考資料として活用できます。

ユーザーニーズを把握する調査の初期段階において、主なターゲットユーザーが誰で、現在彼らがどのようにそのサービスを使用しているかなぜそのサービスが好きなのかどのようなアクセスチャネルを提供しているか、事前調査を行うことになります。

4.補助的なデジタル研究

適切な研究アプローチについて考えるとき、私たちは個々のサービスが一定の割合で保有しているインターネット非ユーザーについても考慮する必要があります。

現在のデジタルチャネル(ex. Web、モバイル)を利用していないユーザーを理解するためには、デジタル環境に対する理解を深める必要があります。たとえば、デジタルサービスに対するユーザーの理解度は次のように分類できます。

 ✓ 一人ではデジタルサービスを利用したことがなく、今後もデジタル使用にあたって付加的なサポートが必要
 ✓ 一人でデジタルサービスを利用することはできるが、利用初期に若干のサポートが必要
 ✓ 一人でデジタルサービスを利用でき、補助的なサポートは必要ない
(デジタル使用に不便はないが現在、他のチャネルを利用している)

一方、多くのユーザーを対象とするサービスの場合、付加的なデジタル調査が必要ないことがあります。大きな母数の集団を対象に調査する場合、Digital Landscape Researchの手法が用いられますが、これは人口統計学的基準資料を活用して、性別と年齢帯別にオンライン/オフラインのユーザーの割合が内容に盛り込まれています。

5.ユーザー調査の方法論の紹介

5-1. 背景 | ユーザー調査に先立ち、調査対象の規模や調査方法、スケジュール、アンケート用紙の構成と調査に活用するツールを定義する準備過程が必要です。

✓サンプリング
サンプリングは、定量調査の1つの方法でプロジェクトの大きさに応じて、対象範囲が決定されます。サンプル対象の数が多いほど、調査結果の信頼性は上がり、満足のいく結果を得るためには通常400〜500名を対象に調査が行われます。

✓ユーザー調査方法の概要

  • 背景:調査に先立ち、適切なユーザー調査方法を選択し、調査を行う上で必要な諸事項を定義
  • 事業の目的:当該サービスの調査目的を定義
  • 調査の目的:調査から何を得ようとするのかを定義
  • 調査対象者:調査のターゲット対象を定義
  • 好ましい調査アプローチ/方法論:サービスの性質に応じた適切なアプローチを選択
  • コスト:調査に消費できる実行コストを確認
  • 配信方法:調査結果をプロジェクト関係者にどのように伝えるかを決定
  • 配信予定スケジュール:調査結果をいつまでに分析/整理し、どの時点で共有するかを決定

✓アンケート用紙の書き方

  • 構成:調査目的の説明 -> サービスに関する一般的な質疑 -> 主要業績を評価できる質疑 -> 対象者の人類学的情報(職業、分野、地域など)の質疑
  • 質疑の種類:単一選択、複数選択、自由記述、順位法、数値配分法、マトリクスなど

✓ユーザー調査ツール

  • アンケート:紙面調査
  • オンラインアンケート:アプリ/Webを通じた調査
  • カードソーティング:設定した構造をユーザーが同じように構成できるかテストする調査
  • オンラインターゲット集団調査:アプリ/Webベースの標的集団面接
  • オンラインコミュニティ調査:アプリ/Web用アプリケーションを利用して、ユーザーや利害集団のコミュニティを対象に調査
  • テキスト分析:電子メールなど複数チャネルを通じて収集したユーザーフィードバックを基に繰り返された単語の頻度や可能性を考慮した分析
    ※オンライン調査は、ユーザーの地理的、時間的制約をなくし、調査にかかる人的コストや発生コストに利点がある

5-2. 定性的ユーザー調査方法 | 構造化されていないユーザーのニーズを把握しようとする際に使用される調査方法で、主に小規模ユーザーを対象に詳細な調査を行うことになります。

✓民族学的調査
実際の生活環境(生活)の中で、彼らがどのようなサービスを利用し、どのように使用して、何を必要とするかを把握する調査方法

✓専門家の意見の検討
ユーザーではなく使用性を評価する専門家を通じてサービスを評価し、様々な専門家間で討議して各自の結果を相互比較する調査方法

✓ゲリラテスト
私たちの問題の解決策と改善ポイントに対する考察を得るために、不特定多数のユーザーを対象に、当該サービスの評価を要請する調査方法

✓same dayユーザー調査(オンライン)
オンラインで行われる他の調査方法と同様に、多数のユーザーを対象に、当該サービスの詳細機能について、どのように感じているか収集し、統計学的に分析する調査方法

✓研究室ベースのユーザー調査
検査者が指定した空間に集まったユーザーを対象に、当該サービスの使用性と直観性を分析するため、課題を与えて遂行程度を測定する調査方法

✓ターゲット集団面接法(FGI)と1:1対面インタビュー
面接者が1名または何名かにタスクを与え、与えられた問題を解決するためにどのようにアクセスするかを監視して洞察する調査方法

✓コミュニティユーザー調査(オンライン)
特定の興味を共通分母にして集められたユーザーを対象に、オンライン上で複数の課題を与えて、それを解決する過程で交わした議論の内容を監視して、深みのある洞察を得る調査方法

5-3. 定量ユーザー調査方法 | 多くのユーザーを対象に客観的かつ構造化されたユーザーの意見を収集/分析するときに用いられる統計学的調査方法です。

✓調査
当該サービスに関連する質問に対して複数ユーザーの客観的な意見を収集/分析する統計学的調査方法
※調査タイプ:紙面調査、オンライン調査、電子メール調査、郵送調査、対面インタビュー、電話インタビューなど

✓リモートユーザービリティテスト
オンライン上で当該サービスの使用性に対する実行課題を与え、ユーザーが当該サービスをどのように認知し、与えられた課題をどのように達成するかを評価する調査方法

✓オンライン検査員調査
募集された参加者を対象に、与えられた時間で検査員がサービスに対する共通の質疑を行い、これに対する客観的回答を収集して分析する定量的調査方法

✓オムニバス式オンライン調査
代表性を帯びるユーザーグループごとに様々なトピックについて具体的な質問をし、その回答を分析する調査方法

6.ユーザーからのフィードバック

ユーザーフィードバックによってユーザーに対する考察を得るプロセスは、他のプロセスに比べて、非可視的、反復的で、持続性を要しますが、サービスを成功に導く上で重要な役割を果たします。これまで説明した様々なユーザー調査の方法論の特徴と違いを正しく理解して、適材適所にこれらを活用すれば、より効用性の高いサービスを作ることができるでしょう。

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